それどこ大賞「買い物」
小嶋と一緒に夢を買いに行った話
うぁ〜!何もしたくない!!
ある土曜日の午後11時20分頃小嶋から着信があった。
毎日客の叱咤に疲弊し耐えながら、ようやく迎えた土曜日!明日は念願の休み!一週間の疲れを取る為にゆっくり寝るぞー!と意気込み、ベッドの上でゴロゴロしている。
同日午後11時24分頃小嶋から着信があった。
起きたらとりあえずジャンクな物でも食べにいこうかなぁ…考えただけで幸せやなぁ…。
同日午後11時26分頃小嶋から着信しあった。
しつこい!
小嶋は昔からそうや!人がゆっくりしたい時に限ってしつこく連絡してくる癖に、こっちが何かしようとした時には連絡に出やがらへん…
半ば諦めつつも折り返し連絡をする。都合のいい人間とは考えず、なんて優しい奴なんや俺はと考えるようにしている。でなければ精神衛生上よろしくない。
「小嶋か?なんや??」
「お、あきさん!明日に夢を買いに行くで!?」
「…は?」
「明日朝9時に阪急梅田の一階にある本屋の前集合な!ほな!」
「…え?ちょっ…」
電話は切れた。
相変わらずよくわからへんやつ…
まあ考えても無駄やしとりあえず寝るか!と思ったことをあえて口にするが、内心(どうせ行くんやろうなぁ…)とも思っていた気持ちが消えることはなく、次の日10分前に着くように梅田に向かっていた。
「お、はやいやんけ!ほな行くで!」
「てか夢買いに行くって何するん?」
「この言い方しててわからんの?センスないなぁ〜」
「うっさいしばくぞ」
「こわっ!この人怖いわ〜」
そんなやりとりをしつつ向かった先は
「JRA?場外馬券場やないか、夢て競馬のことやったんかいな」
「ん?まあそれもあるな!」
なんで含みを持たした言い方するんやこいつ?
途中外したり外したり当てたり外したり外したりを繰り返し、私は1万円程マイナス、小嶋は3万円程マイナスの状態で最終レースを迎えた。
「ここはあてなあかん!」
そう言った小嶋からは、絶対に当たらない雰囲気しかなく、おおよその予想通り普通に外していた。小嶋の皺が一つ増えた気がする。
その後、重い足取りのまま場外馬券場を出た。
「どうする?酒でも呑むか?」
「…ん?まだ夢を買いにいくで??」
「???」
「次は…宝クジや!」
場外馬券場から大阪駅に向かう途中にあるヨドバシカメラに隣接している宝クジ売場に私達は向かった。
「今日は夢を買いに行く日って決めてるからな?競馬、宝クジは外されへんやろ??他にパチンコ、パチスロとかあったけど、競馬で熱くなりすぎたわ…」
「あぁ、だから夢を買いに行くってか。てっきり競馬して酒でも呑んで帰るんかと思ってたわ」
「センスないなぁ〜」
「うっさいしばくぞ」
「こわっ!この人怖いわ〜」
宝クジ売場に着いた私達はジャンボを買うか、ロトを買うか、スクラッチを買うか悩んでいたが、即日わかる方がいいやろということで、スクラッチを購入することに決めた。
「ほな、一人5枚づつ買っていこ。ほんで、当たり金額が多いやつが今日の勝者で」
「競馬で熱くなって負けてる癖に…」
「まぁまぁ!ほな勝負や!」
売場の人に1000円渡し、5枚のスクラッチを手にする。
「ほないくで!?」
「はいはい」
一枚目…ハズレ
二枚目…ハズレ
三枚目…200円
四枚目…200円
五枚目…ハズレ
計400円!!
「小嶋どうやった?」
「あかん、400円や…」
「同じやん!どうする?これも突っ込むか?」
「当たり前や!いくで!!」
結論から言うと、二人共ハズレ…。勝負は持ち越された。
「どうする?続けるか?」
「もうええ…今日はあかん日や…やっぱりゆっくり寝とかなあかんかったんや…」
「昨日の俺やないか!?」
「はぁ…財布寂しいし帰るわ…」
「はいはいじゃあな!」
そうして解散となった。まあ少しは休めたかな?明日からまた頑張ろう!あとは体を休めよう!
その日の午後11時2分頃小嶋から着信があった。
(流石に凹んでるんかな?もう寝るけど少しだけ話聞いたろかな?)
「あきさん⁈なにしてんの⁈」
「ん?疲れたし寝るとこやで?」
「わかった!ほな明日の仕事終わりゲーセンいくで!?」
「…は?」
「ほなnamcoまで来てな⁈」
「 」
俺はなんて優しい奴なんや…